海外安全対策情報(2016年10月~12月)

平成29年1月10日
1.社会・治安情勢

(1)ベルリンでのトラック突入テロ後の情勢
年末に発生した上記テロを受け、独内各地において、治安当局がクリスマスから年末にかけて多数人が集まる場所での厳戒態勢をとった。その他、治安機関への権限増強や公共の場所におけるビデオカメラ監視強化の議論等も活発化している。

(2)大晦日における治安対策
2015年大晦日のケルンにおける集団痴漢事件の発生を受け、2016年大晦日においては、州内警察はケルン等都市部での警備体制を大幅に強化した。特にケルンでは約3千人の警察官を動員し、北アフリカ系男性に対する徹底した声かけ等を行い、暴動や犯罪の発生を抑止するなどした。なお、本対策は人種差別に当たるのではないかとの議論も生じているが、世論は概ね警察の対応を高く評価している。

 
2.一般・凶悪犯罪の傾向

(1)州内犯罪情勢の概況
2014年以降、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州の犯罪認知件数は微増が続いている。同州は、独内16州中最多の人口を擁していることもあり、犯罪認知件数も他の州に比較して非常に多い状況が継続している。
特に発生が増加している窃盗犯罪については、州警察でも各種対策を強めているものの依然として勢いは止まらず、デュッセルドルフ市やケルン市等の都市部を中心に頻発している。また、凶器や暴力を用いての強盗事件も日常的に発生している現状にあり、基本的な防犯意識を持った行動が必要とされる。

(2)邦人被害の概況
旅行者や出張者等に係る窃盗被害(特に置き引きとスリ)が依然として頻発している。被害現場はいずれも不特定多数の出入りする場所。防犯意識を少しでも高く保つことで被害を回避する確率は大きく増加するため、基本的な防犯意識を持って行動することが推奨される。

 
3.テロ・爆弾事件発生状況

(1)州内においてテロ・爆弾事件の発生はなかった

(2)州内における関連動向
○ 11月8日、NRW州警察とニーダーザクセン州警察が合計5名のテロ関係者を逮 捕。被逮捕者はISとの接点を有し、独内でサラフィスト・ネットワークの構築、若 者の過激化促進、戦闘地域への渡航促進等を進めていたとされる。
○ 11月15日、NRW州警察を含む独内各州警察がイスラム過激派支援組織「真の 宗教(Die wahre Religion)」に対する大規模捜索を実施。同組織は、街頭でコーラ ンを配布する「リース(Lies!)」活動により、ネットワークの構築や過激化促進を図 っていたとされる。
○ 11月30日、連邦憲法擁護庁(本部所在地:ケルン)内のイスラム過激主義者を 特定のうえ拘禁。
○ 12月22日、デュースブルク市警察がオーバーハウゼンのショッピングセンター 「Centro(チェントロ)」への襲撃を計画した容疑で、コソボ出身の兄弟を逮 捕したが、24日に嫌疑不十分で釈放。

 
4.誘拐・脅迫事件発生状況
邦人被害に係る事件は認知していない。

 
5.日本企業の安全に係る諸問題
注意を要する具体的な情報はみられない。