着任のご挨拶

平成27年11月28日
 デュッセルドルフ総領事館のホームページにようこそ。このたび着任した総領事の水内です。新米ですが、よろしくお願いします。
 
 当地デュッセルドルフ、若しくはノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州は、日本が戦後復興を遂げる過程で、ヨーロッパに経済活動の拠点を求めた土地であり、日本人コミュニティの発展は、先の大戦への反省を出発点として、世界の平和に外交的に貢献しつつ、自由貿易体制の中で経済活動によって国民の繁栄を求めるという戦後日本の生き様と軌を一にしていると考えています。日本に対し欧州内でも最も友好的であり、また堅固な経済的・文化的な協力関係を実際に築き上げてきた当地で総領事として勤務できることは、大きな名誉であると同時に、大変なチャレンジであると認識しています。
 
 その理由は、まず第1に、当地に在住の日本人の方々は、おそらく私よりもずっとドイツのことをよくご存じであろうからです。第2に、NRW州にお住いのドイツ人の多くも、おそらく私よりもずっと日本のことをご存じであろうからです。
 
 基本的な課題としては、そのような土地柄における日本の在外公館の役割とはいかなるものであるのかを、初心に帰って見直し、工夫をしながら、皆様やその先達が長年培ってきた、NRW州における日独友好関係強化に貢献したいと考えています。領事サービスの一層の充実は当然のこととして、以下の点を重視していきたいと思います。


(1) 経済関係の新たなニーズへの対応
 

 日独経済関係は堅固なものでありますが、それでもなお、昨今の国際政治・経済情勢の進展に伴って、新たなニーズが生まれる余地があると考えます。どんな小さなものであれ、ニーズがある限り、日独経済関係の強化にお役に立ちたいと思います。
 例えば、環太平洋パートナーシップ交渉(TPP)の合意、これは日米を含む世界のGDPの約40パーセントを占める太平洋地域の12の国家によるものですが、これにより、日本とEU間の経済連携協定の締結に向けた交渉も刺激を受けるでしょう。協定が早期かつ成功裏に締結されれば、欧州におけるデュッセルドルフ及びNRW州における日本及びアジア関連のビジネスチャンスが広がるのではないかと思います。
 

(2) 知られざる日本の紹介
 

 着任以来、当地で長く過ごされている日本の方のドイツに関する知識はもちろんのこと、当地のドイツの方々の日本知識の豊富さに驚かされています。文化及び草の根レベルの交流の分野では、伝統的な日本文化に加え、漫画やアニメ等の若者文化も海外に広く知られるようになりました。しかし、知られていない日本の素顔はまだまだたくさんあります。例えば日本産ワインなどは当地ではほとんど知られていないと思われます。和食とドイツ料理を日独ワインのアンサンブルでより魅力的に調和できないかなどとも考えており、試してみてうまくいけば、ドイツの方にもお召しいただければと思います。
 

(3) 日本に関する発信強化

 毎年BBCが欧州において行っている日本に対する好感度調査で、長年、ドイツ人は日本への好感を示してきました。しかし2014年の調査では欧州諸国の人が軒並み日本に対する良い印象があると答えているのに対し、ドイツ人のそれが極端に低くなっており、懸念の種となっています。NRW州の親日的な風土からは直ちには理解しがたいような状況であり、様々な要因があろうかと推測しますが、ありのままの日本はもっとポジティブに評価されるに相応しいと確信しており、そのためにできる限り尽力したいと思っています。
 この関連で、総領事館のホームページをアップデートし、より親しみが持てるような内容を増やそうと思っています。「パートナーシップ」という欄を作り、日独交流に関する興味深い体験をされた方から寄稿を頂こうと考えています。また皆様におかれても日本人、ドイツ人を問わず、積極的な寄稿を歓迎します。


 以上のうちどれだけを実現できるかは正直わかりませんが、皆様のお力もお借りしながら、少しでも実現させ、日独友好に貢献できれば幸いです。皆様あっての日本国総領事館です。どうか力強いご支援・ご指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 
 
平成27年11月  
在デュッセルドルフ日本国総領事
水内 龍太