安全対策情報(2020年10~12月)

令和3年1月5日
令和2年度第3四半期(令和2年10~12月)における海外邦人安全対策情報は、以下のとおりです。当地における防犯対策等の参考としてください。
 
1.社会・治安情勢
【「Querdenken」によるコロナ感染防止対策への抗議活動】
● 市民団体「Querdenken」によるコロナ感染防止対策への抗議活動が全独で活発化しており、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州デュッセルドルフ市内でも、11月15日及び12月6日に、同団体による大規模な集会が行われた。NRW州政府によれば、これまで州内で同団体による集会が約400件行われており、右翼過激主義者、帝国市民(Reichsbuerger)が抗議活動に紛れ込んで右翼過激主義的及び陰謀論的な思想を持ち込む等の影響を与えているとして治安当局は警戒を強めている(※11月にザクセン州ライプツィヒで行われた同団体の抗議活動では、参加者がコロナ感染防止に関する衛生規則に違反したことから、解散命令を発出されたところ、本命令に抗議する参加者が一部暴徒化し、警察と衝突した)。
 
● 11月、市民団体「Querdenken」が計画していたとされる、登下校中の学生やその家族に対するマスク着用義務のネガティブキャンペーンについて、NRW州ドルマーゲン(Doemagens)市長がインスタグラムを通じて非難したところ、その後、同市長の発言内容を部分的に切り取り、「市長が児童生徒に対して、マスクを着用しない者を警察に知らせるよう呼び掛けている」旨の文脈に編集加工した悪意ある動画が、「Facebook」や「You Tube」上に拡散する事案が発生した。さらに、同市長は、メールや電話を通じて、侮辱、憎悪、殺害の脅迫を受けており、現在、治安当局において被疑者の特定に向けた捜査が進められている。
 
【NRW州警察組織等における右翼過激主義的傾向を有する職員への対応】
● 9月に発覚した、NRW州の警察職員約30名が右翼過激主義的なチャットグループに関与していたとされる事案に関し、ロイルNRW州内務大臣は、11月24日、州議会内務委員会で、現在、NRW州全体で173件の右翼過激主義的傾向に関する疑わしい事案を確認している旨を報告した。NRW州内務省では、本事案に対応するための専門ユニットを設け、州内の様々な階級の警察官に対する面談を実施するほか、警察組織内部の右翼過激主義的言動の早期把握に向けた方策の検討が進めている。
 
【IS構成員や支援者を勧誘した疑いでイスラム教原理主義者の男を拘束】
● 10月15日、デュッセルドルフ検察局及びケルン市警察本部は、ケルンにおいて、イスラム教原理主義者の男(18歳)を、IS構成員や支援者を勧誘した疑いで拘束した。同男は、チャットを通じ、少女に対して自爆攻撃を実行するよう求めたとされる。
2.一般・凶悪犯罪の動向
【デュッセルドルフ市中心街におけるスリ事案の連続発生】
● 11月以降、デュッセルドルフ市中心街の歩道上において、いずれもベビーカーを押しながら歩行中の邦人女性に対する悪質なスリ被害が連続発生した。新型コロナウイルス感染拡大に伴い公共空間における人の往来が減少したことにより、街頭犯罪の発生件数は、一時的に減少したものの、引き続き、この種犯罪の発生には十分な注意が必要。
※ 別添「当館が認知した主な犯罪被害の例(2020.4.~2020.12把握分)」参照。
 
【デュッセルドルフ市旧市街における多数の若者による警察車両に対する襲撃事案の発生】
● 12月5日19時半ころ、デュッセルドルフ市旧市街でコロナ感染防止規制を遵守せず、同市秩序局職員に暴力を振るった16歳の少年(ガーナ国籍者とされる)を同市警察が逮捕し、警察車両にて連行中、約50名程度の若者が警察車両を取り囲み、車両に蹴りを入れたり、ドアをこじ開けようとするなどの襲撃事案が発生した。
 本事案発生後まもなく、デュッセルドルフ市警察は、12名の若者(15~17歳、ほぼ全員が外国旅券又は移民の背景を有するとされる)の身柄を拘束し、公務執行妨害、騒乱、脱獄幇助、強要及び器物損壊の容疑で捜査を進めている。
 デュッセルドルフ市旧市街では、現在、新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンにより、飲食店、小売店等が閉鎖となっているものの、依然としてこのような若者の「たまり場」となっていることから、付近を通過の際は無用なトラブルに巻き込まれないよう十分な注意が必要。
 
3.テロ・爆弾事件発生状況
  この種事案の発生は認知していない。
 
4.誘拐・脅迫事件発生状況
  邦人被害に係る事案の発生は認知していない。
 
5.日本企業の安全にかかわる諸問題
  この種事案の発生は認知していない。