安全対策情報(2019年10~12月)

令和2年1月7日
令和元年度第3四半期(令和元年10~12月)における海外邦人安全対策情報についてお知らせします。
 
1.社会・治安情勢
(1)トルコ軍によるシリア侵攻に伴うクルド系住民によるデモ
 10月9日、トルコ軍によるシリア北部を支配するクルド人民防衛隊(YPG)への軍事作戦が開始された。これに伴い、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州内最大規模のクルド系コミュニティを有するケルン市をはじめ州内各地で、当該軍事作戦を非難し、終結を要求するデモが行われた。
同月12日にケルン市内で行われた1万人規模のデモでは、当地警察の厳戒態勢のもと大部分は平和的に行われたが、デモ隊の一部がクルド労働者党(PKK)のシンボルを掲載した旗を掲げるなどの違反行為に対して警察の取締りが行われた。
また、同月14日、州内ヘルネ(Herne)で行われたデモでは、挑発行為を行った者とデモ隊との間でトラブルが生じ、デモ隊が暴徒化して負傷者が発生した。
(2)ボン中央駅における右翼及び左翼の衝突事案
11月16日午後6時ころ、ボン中央駅において、ネオナチのイデオロギーを有する右翼過激派約20名と左翼約80名が衝突する乱闘事案が発生し、連邦警察及びNRW州警察が当該事案の鎮圧のため多数の部隊を投入し、同駅は一時閉鎖された。
 
2.一般・凶悪犯罪の傾向
(1)邦人被害事案
 ● 依然として、デュッセルドルフ市内の駅構内、電車・バス、ホテル、レストラン、歩道上等で邦人に対するすり・置き引き事案が発生している。メッセ開催期間だけでなく、クリスマス・マーケット開催期間に入ってからも、同被害の発生が継続しており、引き続き注意が必要である。当地では、貴重品を自身から死角となる位置に保管せず、常に意識を向ける、他者と不用意に接近しないなど常に高い防犯意識を保持して行動することが重要である。
 ● 10月14日深夜、デュッセルドルフ市内の多数の邦人が所在するオーバーカッセル地区及びインマーマン通り周辺で、少年グループによる路上強盗事件が連続発生した。当該被疑者らの手口は、歩道上で被害者にタバコや現金を要求し、要求が拒否されると、強引に被害者のポケットをまさぐるなどして金品を強奪するというものであった。当地警察の迅速な捜査により、事案発生の翌日までに関係被疑者は全て検挙された。
(2)邦人以外の被害事案
 ● 10月22日以降、児童に対する性的虐待、児童ポルノの頒布、取得及び所持等の罪で、NRW州内各所(ベルギッシュ=グラートバッハ、フィーアゼン、クレフェルト、ドルトムント、アーヘン、アルスドルフ、カンプ=リンフォルト、デュースブルク)においてこれまでに被疑者20名が順次拘束されるなど大規模な捜査が進められている。当該事案の被疑者の所在は、NRW州内にとどまらず、国内他の10州(ベルリン州、ブランデンブルク州、ザクセン=アンハルト州、ハンブルク州、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州、ニーダーザクセン州、ラインラント=プファルツ州、ヘッセン州、バーデン=ビュルテンベルク州、ザールラント州)にまで拡大している(12月19日現在、当地警察プレスによる)。被疑者らは、実子や養子に対して性的虐待を行い、当該行為を撮影した動画データをチャットなどを介して他者と取引していたとされる。
 
3.テロ・爆弾事件発生状況
  この種事案の発生は認知していない。
 
4.誘拐・脅迫事件発生状況
  邦人被害に係る事案の発生は認知していない。
 
5.日本企業の安全にかかわる諸問題
  この種事案の発生は認知していない。