平成29年7~9月における安全対策情報

1.社会・治安情勢
(1)連邦議会選挙
9月24日に行われた連邦議会選挙において、右翼政党のドイツのための選択肢(AfD)が第3党に躍進した。AfDは反難民などを掲げて大衆を動員する運動を展開してきた経緯があるが、右に対し反対する一般市民の抗議活動もあり、社会不安の原因となる可能性は排除されない。
(2)トルコ系住民の動向と対トルコ関係
9月16日、ケルン市中心部で、トルコ系クルド人による大規模なデモが開催された。これに対しトルコ政府は、PKK(クルド労働者党、当館註:ドイツは同団体をテロ組織と指定している)の活動を容認するものであるとして強く非難した。
ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州はドイツの中でトルコ系移民の背景を持つ住人が最も多く居住し、そこにトルコ人とクルド人が混在していることから、トルコ国内の対立状況をドイツ国内に投影している。9月25日、イラク国内のクルド地域の住民投票の結果、クルド地域の分離独立への支持が多数を占めたことでトルコ政府が神経質になっていることから、当地におけるトルコ系・クルド系住民間の関係も影響を受ける可能性があり注意を要する。
(3)州警察の新体制
5月14日に行われたNRW州議会選挙による政権交代の結果、警察等治安機関を所管する内務省においても、新任のロイル(Herbert Reul)大臣とマティス(Juergen Mathies)次官の新体制で治安対策を講じ始めた。
NRW州の犯罪認知件数は独内16州最大で、また警察官1人当たりの負担が大きいとして、今後は毎年2,300名の警察官を増員する方針。また、州内では警察官に対する暴力が激増しているところ、それら犯罪の徹底取締りと警察官への尊敬の回復を目指すとしている。
(4)州内テロ対策
昨年末のベルリンでのトラック突入テロ以降相次いで発生している車両使用テロ対策として、デュッセルドルフ市をはじめとするNRW州の各都市は、市中心部に車両侵入防止器材を設置するなどの対策を推進している。
 
2.一般・凶悪犯罪の傾向
(1)州内犯罪情勢の概況
2016年のNRW州の犯罪認知件数は前年比マイナスであったが、依然として窃盗や強盗の件数は高止まりしている(両犯罪とも独全体の4分の1以上がNRW州で発生している)。これから冬にかけて日照時間が少なくなるため、州警察は特に空き巣が増加するとして注意喚起を行っている。
(2)警察官に対する暴力の増加
本年上半期、NRW州では、公務中の警察官への攻撃件数が増加した。特にデュッセルドルフ中央駅における同事件の発生は、前年同時期比で25パーセント増加した。
(3)邦人被害の概況
特に州内でメッセが開催されている時期の邦人旅行者や出張者等に係る窃盗被害(特に置き引きとすり)が頻発しており、その被害金額も大きい。防犯意識を高く保つことで、被害を回避する確率は大きく増加する。また、邦人を標的にした偽警察官による抜き取り詐欺(所持品検査に藉口したすり)も多く見られる。
 
3.テロ・爆弾事件発生状況
本年7~9月においてNRW州内ではテロ事件の発生はなく、さらに関連被疑者の検挙報道等もなかった。
 
4.誘拐・脅迫事件発生状況
邦人被害に係る事件は認知していない。
 
5.日本企業の安全に係る諸問題
注意を要する具体的な情報はみられない。